イタリア・サンタアガタ・ボロニェーゼに本拠を構えるランボルギーニは、1963年の創業以来、V12やV10エンジンを搭載したスーパーカーで世界中のファンを魅了してきました。 「カウンタック」「ディアブロ」「ムルシエラゴ」「アヴェンタドール」など、時代を象徴する名車を次々と生み出し、その咆哮とデザインは自動車史に刻まれています。
しかし、世界的なカーボンニュートラルの潮流は、ランボルギーニのような伝統的なスーパーカーブランドにも変革を迫っています。 その象徴が、2023年のモントレー・カー・ウィークで発表された「Lanzador(ランザドール)」です。 これはランボルギーニ初の量産EVとして2028年に発売予定であり、同社の電動化戦略「Direzione Cor Tauri(コル・タウリ計画)」の中核を担うモデルです。
概要と魅力
モデル概要
- 車種区分:2+2シーター・ハイパーGT(クロスオーバー的要素を持つグランツーリスモ)
- 駆動方式:デュアルモーターAWD
- 最高出力:約1メガワット(約1,360PS)
- 航続距離:500km以上(推定、WLTP)
- バッテリー:次世代高エネルギー密度セル(詳細未公表)
- 0-100km/h加速:2秒台前半を想定
- 発売予定:2028年
デザイン哲学
ランザドールは、ランボルギーニのデザイン責任者ミッチャ・ボルケルトが率いるチームによって生み出されました。 「スペースシップ・デザイン」と呼ばれる未来的な造形は、ウラカンやアヴェンタドールのシャープなラインを継承しつつ、車高をやや上げたクロスオーバー的プロポーションを採用。 フロントにはY字型のLEDデイタイムランニングライト、サイドには空力を意識した深いキャラクターライン、リアには可変式ウィングとディフューザーが組み込まれています。
インテリアと素材

- ドライバー中心のコクピット設計
- 持続可能素材(リサイクルカーボン、天然繊維、再生ナイロン)を使用
- 大型デジタルディスプレイとARヘッドアップディスプレイ
- 後席は2座で、長距離移動にも対応
- カスタマイズ可能なアンビエントライトとインターフェーステーマ
技術と走行性能
- 前後モーターによるトルクベクタリング
- アクティブサスペンションと車高調整機能
- 次世代バッテリー冷却システム
- 回生ブレーキとカーボンセラミックブレーキの統合制御
- 0-100km/h加速は2秒台前半を想定
ブランド戦略と電動化ロードマップ
ランボルギーニは2024年までに全モデルをハイブリッド化し、2028年にランザドールでEV市場に参入。 2030年代初頭には完全EVとハイブリッドのラインナップで構成される予定です。 この戦略は、環境規制への対応だけでなく、新しい顧客層の開拓やブランド価値の持続的向上を狙っています。
競合比較
モデル | 航続距離 | 最高出力 | 価格帯(予想) | 特徴 |
---|---|---|---|---|
ランボルギーニ Lanzador | 500km+ | 約1,360PS | 約6,000〜7,000万円 | スーパーカーDNAとクロスオーバーの融合 |
フェラーリ EV(開発中) | 未公表 | 未公表 | 未公表 | フェラーリ初のEV、2025年発表予定 |
ポルシェ Taycan Turbo GT | 約500km | 1,100PS | 約3,000万円 | サーキット性能と日常性の両立 |
改善の余地と実用面のポイント
航続距離と充電
500km以上を目標としていますが、実走行では高速巡航やサーキット走行で大きく減少する可能性があります。 充電は350kW級の超急速充電に対応予定ですが、日本国内でのインフラ整備が鍵となります。
価格と維持費
予想価格は6,000万円以上とされ、保険料やタイヤ交換費用も高額。 維持には相応のコストがかかります。
実用性
2+2シーターで後席は成人でも短距離なら快適ですが、荷室容量は限定的。 日常使いよりも週末のドライブやイベント向きです。
ブランドイメージの変化
EV化によって「ランボルギーニらしい咆哮」が失われる懸念がありますが、ブランドは新しいサウンドデザインや加速感で感性に訴える戦略を取っています。
購入戦略
- 発表時の限定仕様やローンチエディションを狙う
- 充電環境の事前整備
- リセールを意識したカラー・仕様選び
- サーキット走行やイベント参加を前提にした保険プラン検討
まとめと購入判断
ランボルギーニ Lanzadorは、スーパーカーのDNAを持ちながら電動化時代に適応した新しいハイパーGTです。 価格や実用性のハードルは高いものの、ブランドの未来を象徴する一台として、コレクション価値も非常に高いでしょう。
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