EVトラック充電・充電器

EVトラック導入前に充電設備を調べる方法|拠点・電力・運行を一枚に整理する

公式情報確認日:2026年10月10日

EVトラックの充電設備を相談するときは、充電器のカタログだけでなく「車両の運行表」「拠点の電力使用状況」「駐車・配線経路の図面」をそろえましょう。現地調査の目的は、設置できる場所を探すことだけではありません。繁忙日でも翌朝の出庫に間に合うか、増車したときに再工事が必要かまで、同じ条件で見積もるための準備です。

現地調査までに集めておく資料

配送拠点に停車する電動トラック
海外の電動トラックの参考写真。日本向け車両の仕様や国内拠点の運行実績を示すものではありません。(Wikimedia Commons/CC BY-SA 2.0)

資料がなくても相談は始められます。分からない欄は推測で埋めず、誰に確認するかを書いておくと打ち合わせが進みます。配電盤の内部確認や電気容量の判定を、自社の担当者だけで行う必要はありません。

持参資料と確認する相手
用意するもの書いておく内容主な確認先
車両候補の仕様型式、電池仕様、架装、充電方式、充電口の位置車両販売店・メーカー
車両別の運行表走行距離、帰庫・出庫時刻、積載、冷凍機等の使用、遅延時の予定運行管理者
電力の契約・使用資料契約内容、電気料金明細、入手できる場合は30分ごとの使用量施設管理者・電力会社
敷地・設備の図面受電設備、駐車位置、配線候補、車両と歩行者の通路施設管理者・施工会社
所有・賃貸の条件工事の承諾先、利用できる区画、退去時の原状回復条件所有者・賃貸管理者

運行表は平均日だけでなく、距離が長い日、帰庫が遅い日、翌朝が早い日を用意します。車両側の電費をkm/kWhで記録している場合、走行分の電力量の概算は「走行距離÷電費」です。kWh/kmなら掛け算になります。補機の電力を含む記録かを確認し、充電損失を含む受電側の必要量とは分けて扱ってください。

施工会社へは「何kWか」より先に出庫条件を伝える

道路を走る電動トラック
海外の実証車両(Elways electric truck on eRoadArlanda)の参考写真。国内で使う充電方式・設備の適合を示すものではありません。(Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0)

「急速充電器を1基」という依頼だけでは、候補車との適合や工事範囲がそろいません。「この車両をこの時刻に帰庫させ、翌朝この残量で出庫したい」と伝え、普通充電・急速充電・運用変更のどれで実現できるかを比較します。

いすゞのEVisionは、充電器の選定、設置調査、施工手配、アフターサポートを案内しています。掲載例には6kWの普通充電器や50kWの急速充電器などがありますが、これを自社に必要な出力と読み替えないでください。公式にも、充電器の出力と実際の充電電力は異なると記載されています。いすゞEVisionの充電支援・機器例

  • 既存の空調・冷凍設備と同時に使った場合も、計画した充電が可能か。
  • 停車位置から充電口までケーブルが届き、通路や荷役を妨げないか。
  • 受電設備の変更や停電作業が必要か。必要なら工期と業務への影響は何か。
  • 車両と充電器の適合を、誰がどの仕様で確認するか。
  • 設置後の試運転で、実際の帰庫・出庫条件をどう確かめるか。

eキャンターの公式案内では普通充電(AC)・急速充電(DC)への対応が示され、充電口の位置は車種で異なるとされています。同じメーカーだから同じ配置と考えず、発注する車両の仕様を図面へ反映しましょう。三菱ふそう・eキャンターの充電ポート案内

複数台・増車予定は別々の見積条件にする

EV充電器に接続された電力ケーブル
充電ケーブルの参考写真。接続規格・ケーブル長・設置条件は導入候補の車両と設備で確認します。(Wikimedia Commons/CC BY 2.0)

充電器の口が二つあっても、各車が表示出力で同時充電できるとは限りません。たとえばEVision掲載のニチコン100kW・2口機は、50kWずつで2台を同時充電するタイプです。機種ごとの配分方式を確認し、台数分の出庫条件で計算してもらいます。

見積もりは「導入初期の台数」と「増車後の台数」を分け、帰庫の集中、優先車両、完了後の車両移動、充電器1基が使えない場合も相談しましょう。初期は充電器を少なくし、配線ルートや設置スペースだけ増設に備える案と、最初から必要設備を整える案を比較できます。将来の台数・時期が未定なら、そのことも条件に明記します。

工事費は総額だけでなく内訳で比較する

複数のEV充電器がある駐車区画
複数の充電区画の参考写真。トラックの進入可否や、各口へ同じ出力が供給されることを示すものではありません。(Wikimedia Commons/CC BY 2.0)

以下は見積書へ分けて記載を依頼する項目です。すべての拠点で全項目が必要になるわけではありません。「別途」「現地確認後」となった費用がどこまで残るかをそろえると、安い見積もりの見落としを減らせます。

充電設備の見積書で確認する費用
費用区分内訳・条件
機器・管理機能充電器本体、ケーブル、認証・通信、出力制御機能
電気工事盤・配線・保護設備、受電設備変更の要否、申請・協議の担当範囲
土木・設置工事基礎、掘削・舗装復旧、防護設備、区画表示
稼働準備停電作業、試運転、操作説明、納車までの工程
稼働後・将来保守、通信・サービス料金、故障時の出張費、増設・原状回復

電気料金は工事費とは別に、契約変更後の基本料金と充電分の使用料金を試算してもらいます。補助金も工事見積もりとは分け、対象費用や申請条件を確認する前に「必ず差し引ける金額」として扱わないでください。公募の入口は環境省・商用車等の電動化促進事業で確認できます。

商用トラック向け充電設備の補助条件は、LEVOの充電設備申請ページも確認してください。2026年10月10日確認時点では対象設備決定後に受付開始と案内され、同制度では交付決定の通知前に発注等をした機器・工事費は対象外とされています。車両と設備で手順が異なるため、販売店・施工会社・申請窓口に同じ工程表で確認します。

導入後に困りやすいことと、調査時の対策

駐車区画で使われるEV充電インフラ
駐車区画の充電設備の参考写真。国内での補助対象登録や工事条件を示すものではありません。(Wikimedia Commons/CC BY 2.0)
朝になっても充電が終わっていない
平均日の計算だけで決めず、遅い帰庫と早い出庫が重なる条件を提示します。充電順の変更や運行の振り分けも含め、販売店・施工会社に実現性を確認します。
設置できたが荷役や駐車の邪魔になる
架装を含む車両寸法と充電口の位置を図面に入れ、ケーブルを接続した状態の動線まで現地で確認します。
故障時に相談先が分からない
車両側・充電器側の連絡先、受付時間、現地対応の範囲を引き渡し時の書面にまとめます。異臭・発熱・破損などがあるときは使用を中止し、無理な再接続や自己修理は避けてください。

調査の最後に「設置位置の図面」「初期・増車後の見積もり」「未確認事項と回答担当」「納車・工事・試運転の工程」をそろえれば、次に何を決めるべきかが明確になります。設備仕様は記事の一般論で確定せず、候補車両と現地条件を示して専門事業者へ確認してください。