4トン積めるEVトラックを探す前に|積載量・車両総重量・架装の見分け方
「今使っている4トントラックをEVに替えたい」。その相談では、最初に荷物を4トン積みたいのか、車両総重量が4トン前後の車を探しているのかを分ける必要があります。両者は同じ条件ではありません。
たとえば、いすゞの現行ELF EVには車両総重量5トン未満で最大積載量2トンを確保できる車型があり、日野デュトロ Z EVの2026年型の公表例は車両総重量3,440kg・最大積載量950kgです。車両全体の重さを、そのまま荷物の重さとして比較することはできません。
日本向け公式情報の確認日:2026年10月24日。積載量は架装・仕様によって変わります。写真は撮影車の参考で、掲載仕様の実測写真ではありません。

積載4トンと、車両総重量4トンは別の数字
車両総重量は、車両そのもの、積める荷物、定員分の重さを合わせた値です。公的な用語説明では、車両重量と最大積載量に、55kg×乗車定員を加える定義が示されています。日々の運行で確認する最大積載量は、荷物をどこまで載せられるかという別の欄です。
例えば説明用に、車両重量3,200kg、乗車定員2人、最大積載量2,000kgと仮定すると、車両総重量は3,200+110+2,000=5,310kgになります。この車を「総重量5トン台」と呼べても、荷物を5トン積めるという意味ではありません。実在車の仕様例ではなく、欄の違いを示す計算です。出典:環境再生保全機構の車両総重量の説明
販売店には「4トン車が欲しい」だけでなく、荷物の最大重量、パレット枚数、荷室寸法、必要な架装を伝えます。完成車の車検証と見積仕様で、最大積載量と車両総重量をそれぞれ確認するのが出発点です。
国内の公表例を、荷物の量から読み分ける
下表は、メーカーが公表する対象車型の例です。すべてを積載4トン車として並べた表ではありません。異なる大きさの車を一律に比べないための入口として使ってください。
| 対象 | 公表される区分・積載量 | 選定で確認すること |
|---|---|---|
| いすゞ ELFmio EV 標準キャブ | GVW3.5t未満、最大積載量1,050kg | 荷物がこの範囲で足りるか。架装仕様による違い |
| いすゞ ELF EV 標準キャブNJR | GVW5t未満で最大積載量2,000kg確保が可能 | 購入する完成車の重量と、付ける架装 |
| いすゞ ELF EV ワイドキャブNPR | 最大積載量2,950kg/3,000kgの公表例 | 同じワイドでも仕様を指定して照合 |
| 日野デュトロ Z EV 2026年型公表例 | GVW3,440kg、最大積載量950kg | 低床の荷役を生かす用途と、必要な荷物量 |
| 三菱ふそう eCanter | 複数のシャシ・電池・架装を設定 | 公式の車型選択と見積もりで、完成車の積載量を確認 |
出典:いすゞELF EV日本公式、日野2026年6月2日発表、三菱ふそうeCanter日本公式。いすゞは積載量が架装仕様で異なると注記しています。車名だけで、表の最大値がどの仕様にも当てはまるとは判断しないでください。
実際に4,000kgを積む必要があるなら、この表の2トン・3トンの車型をそのまま代替にすることはできません。走行距離が短く充電しやすい車でも、必要な荷物が載らなければ同じ仕事を引き継げないためです。適合する完成車を、架装業者を含めて指定してもらいましょう。
荷物は、商品だけでなくパレットや容器も数える
車を選ぶ前に、忙しい日の荷物を一度書き出してみてください。商品、パレット、台車、空き容器など、積むものの合計が必要です。荷室に収まるかという体積の問題と、積める重さの問題も分けて考えます。
仮に商品450kgとパレット50kgの組を6組運ぶなら、合計は3,000kg。商品650kgとパレット50kgなら4,200kgです。どちらも説明用の仮定ですが、同じ6枚でも必要な積載量が1.2トン変わります。帰りに回収品が増えるルートなら、その区間の積み方も確認します。

冷凍・冷蔵機器、パワーゲート、棚などを追加する場合は、完成車の重量や電力の使い方へどう反映されるかを見積書で確認します。カタログの平ボディ例と、実際に必要なバン架装を同じ条件として扱わないことが大切です。
帰庫から出発までに、翌日分を戻せるか
次に、荷物を積んだ状態の運行と充電を合わせます。公称航続距離は試験条件の値で、実際のルート、気温、空調、積載、架装機器によって変わります。「カタログで250kmだから毎日250kmの配送へ使える」といった決め方ではなく、メーカーと実際の運行条件を共有してください。
説明用に、1日の走行で電池から50kWhを使い、充電効率を90%、設備からの平均給電出力を6kWと仮定します。設備側で必要なのは約55.6kWh、補給時間は約9時間16分です。23時帰庫・翌朝7時出発の8時間には収まりません。特定車種の電費や充電性能を示す計算ではなく、運行表と設備を同時に見るための例です。
同じ条件の2台を、設備全体で合計6kWしか出せない構成へつなぐなら、必要な約111.1kWhの給電には約18時間31分かかる計算です。充電口が2個あることと、2台とも同じ速度で充電できることは違います。電源容量、同時充電の制御、車両側の受け入れ条件まで相談しましょう。

見積もりには、車両と設備と運行の条件をそろえる
販売店へは、最も荷物が多い日と距離が長い日、帰庫時刻、休日の稼働、途中で立ち寄れる拠点を伝えます。車両だけ先に決めるより、営業所の現地確認と並行した方が、必要な充電時間と設備の相談を進めやすくなります。
価格は、本体・架装・充電器・工事・保守を分けて受け取ってください。補助金を使う場合も、見込額だけを引いて比較せず、その車型と申請者、契約や登録の時期が対象かを制度の公式案内で確かめます。今回、一律の補助率や10年間の整備費を、全車へ当てはめる比較はしていません。
運転できる免許についても「EVだから」「小型という車名だから」では判断せず、完成車の車両総重量・最大積載量・定員と、運転する人の免許条件を販売店などへ照合します。大型の車体を運転できるかという問題と、毎日の荷役がしやすいかという問題を、それぞれ確かめてください。
販売店へ持っていきたい、5つの確認項目
- 最も重い区間で、商品と容器・パレットを合計すると何kgになるか。
- 完成車の最大積載量、荷室内寸、開口と床の高さは必要条件を満たすか。
- 空調や架装の動作も含め、そのルートで使う電気をどう検証するか。
- 翌朝までの停車時間に、台数分の必要量を補給できるか。
- 車両・設備の点検、故障時の相談先と代車・運行の代替を決められるか。
EVトラックの比較は、航続距離の長い順に並べるだけでは決まりません。最初に荷物と架装を固定し、その一日の仕事を終え、次の朝に出られる条件をそろえること。その順番なら、「4トン」という呼び方に引っ張られず、自社の仕事に合う車型を販売店と具体的に探せます。