「自社の配送車をEVトラックに替えたいが、補助金はいくら?航続距離は足りる?コストは本当に下がる?」——2024年問題や荷主からの脱炭素要求(Scope3)を背景に、運送・配送の現場でEVトラック(電気トラック)の導入を検討する事業者が増えています。この記事では、事業用EVトラックの補助金・航続距離・充電・コスト・主要車種を、導入判断に必要な順で整理します。乗用EVとは補助金制度が異なる点も含め、はじめての方にもわかるように解説します。
※本記事の補助金額・価格・スペックは2026年6月時点で公表・報道されている情報をもとにした概算です。補助額は車種別の登録額・年度予算・審査により変動し、各社価格はリース中心で非公表のものもあります。導入前に必ずメーカー・公式制度窓口で最新情報をご確認ください。
事業用EVトラックの補助金は「CEV補助金」ではない
まず最初に押さえるべき重要ポイントです。自家用の乗用EVには国のCEV補助金(普通EV最大130万円など)がありますが、事業用EVトラックの主な補助金はこれとは別です。事業用トラックは主に環境省の「商用車の電動化促進事業」が対象になります。
- 国(環境省)の補助:ディーゼル車との車両価格差の2/3が交付の目安。車種別の登録額・予算枠・審査で決まります。
- 自治体の上乗せ:東京都(クール・ネット東京)など、自治体が独自に上乗せ補助を出すケースがあり、国と併用できる場合があります。
たとえば小型EVトラックでは、国の補助が数百万円規模、これに自治体補助が加わると、ディーゼル車との価格差の多くが補助でカバーされるケースもあります(あくまで概算で、予算・審査により変動)。補助金は年度予算制で予算上限に達すると締め切られるため、導入が決まったら早めの申請が鉄則です。
航続距離は足りる?「中近距離のルート配送」が主戦場
EVトラック導入で最大の不安が航続距離です。現状の小型EVトラックの航続は1充電あたり約150〜350kmが目安で、長距離幹線輸送より中近距離のルート配送・地場配送に適しています。
判断の目安は「1日の走行距離」です。たとえば1日の走行が150km以内のルート配送なら、夜間に営業所で充電して翌朝フル充電からスタートする運用で十分まかなえます。逆に1日300kmを超える長距離が中心なら、現状では航続距離の大きい車種を選ぶか、ディーゼルとの併用を検討するのが現実的です。自社の配送ルートの1日走行距離を洗い出すことが、車種選定の出発点になります。
充電インフラ|営業所への充電器設置がカギ
EVトラックの運用は自社営業所での充電(基礎充電)が基本です。夜間の駐車中に充電しておけば、日中の稼働に支障なく回せます。導入時には次の検討が必要です。
- 充電器の種類・出力:台数と運用に合わせた普通・急速充電器の選定。
- 電気契約の見直し:複数台を同時充電する場合、受電設備や契約電力の増強が必要なことも。
- 設置工事・補助金:充電設備の設置にも補助制度がある場合があります。
車両だけでなく充電器の設置・申請までをワンストップで支援してもらえると、導入のハードルは大きく下がります。
コストは下がる?ディーゼル車との比較
EVトラックは車両価格こそディーゼル車より高いものの、燃料費(軽油→電気)と整備費の削減で、走行距離が多いほどトータルコストで有利になります。
- 燃料費:軽油代に対し、電気代(とくに夜間電力)は大幅に安く、走行距離が多い事業者ほど削減効果が大きい。
- 整備費:エンジンオイル交換などが不要で、可動部が少ないEVは整備項目が減る傾向。
- 補助金:初期の価格差を補助金が縮める。
「車両価格差 − 補助金」と「年間の燃料・整備費削減額」から投資回収年数を試算するのが、導入判断の王道です。年間走行距離が多い事業者ほど回収は早まります。具体的な維持費の考え方は「EV vs ガソリン車|10年間の維持費トータル比較」も参考になります。
主要な小型EVトラックを比較(2026年)
導入検討で名前が挙がる主要な小型EVトラックを、航続・積載・価格の透明性で並べます。リース中心で本体価格が非公表のメーカーが多い中、本体価格を明示し即納できるかは導入判断のしやすさを左右します。
| 車種 | 航続(目安) | 積載(目安) | 価格・販売形態 |
|---|---|---|---|
| ZO MOTORS ZM6 | 約180km | 約2.55t | 1,390万円・即納(本体価格明示) |
| ZO MOTORS ZM5 | 約177km | 約2t | 約1,000万円〜 |
| ZO MOTORS ZM8 | 約350km | 約4.5t | 2026年6月〜 |
| 三菱ふそう eCanter | 約100〜200km | 約2t | 本体非公表・リース中心 |
| いすゞ エルフEV | 約100〜200km | 約2.7t | 約648万円〜・当面リース |
| 日野 デュトロZ EV | 約150km | 約1t | 非公表・リース中心 |
※価格・スペックは各社公表値・報道ベースの概算で、構成・時期により変動します。
EVトラック導入の進め方|5ステップ
- STEP1:自社の配送ルートの1日走行距離・積載・稼働日数を洗い出す。
- STEP2:航続・積載が合う車種を選定(中近距離なら小型EVトラックが有力)。
- STEP3:補助金(商用車の電動化促進事業+自治体上乗せ)の概算と、投資回収年数を試算。
- STEP4:営業所の充電器設置・電気契約を検討(設置補助の確認も)。
- STEP5:見積・申請・納車。予算枠のある補助金は早めの申請が有利。
よくある質問
- EVトラックの補助金はいくらですか?
- 事業用EVトラックは環境省「商用車の電動化促進事業」が主な対象で、ディーゼル車との価格差の2/3が交付の目安です。これに自治体の上乗せが加わる場合があります。車種別の登録額・予算・審査で変動するため概算としてお考えください。乗用EVのCEV補助金とは別制度です。
- EVトラックの航続距離はどれくらいですか?
- 小型EVトラックで1充電あたり約150〜350kmが目安です。長距離幹線より、1日150km前後までの中近距離ルート配送・地場配送に適しています。営業所での夜間充電を前提に運用します。
- EVトラックは本当にコストが下がりますか?
- 車両価格はディーゼル車より高いですが、燃料費(軽油→電気)と整備費の削減で、走行距離が多いほどトータルで有利になります。補助金で初期の価格差が縮まり、年間走行が多い事業者ほど投資回収が早まります。
- 充電設備は自社に必要ですか?
- 営業所での基礎充電(夜間充電)が基本運用です。台数によっては受電設備や契約電力の増強が必要な場合があります。充電器設置にも補助制度がある場合があるため、車両とあわせて検討するのが効率的です。
- すぐに導入できる車種はありますか?
- ZO MOTORSのZM6は即納対応の在庫があります。年度予算のある補助金は早い者勝ちの側面があるため、導入を急ぐ場合は早めの相談・申請がおすすめです。
まとめ
- 事業用EVトラックの主な補助金は環境省「商用車の電動化促進事業」(差額の2/3が目安)。乗用のCEV補助金とは別。
- 航続は約150〜350kmで、中近距離のルート配送が主戦場。1日走行距離が選定の起点。
- 運用は営業所での夜間充電が基本。充電器設置・電気契約もセットで検討。
- 車両価格差を補助金が縮め、燃料・整備費削減で走行が多いほど回収が早い。
- 本体価格を明示し即納できる車種(ZM6など)は導入判断がしやすい。
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