EVトラック

EVトラックのメリット・デメリットを正直に解説|導入前に知るべき6つの弱点と克服策

「補助金があるから」だけでEVトラックを決めると、納車後に後悔する会社があります。逆に、弱点を先に知ったうえで導入した会社は、燃料費・維持費の削減効果をきちんと出しています。差はシンプルで、自社の使い方が弱点の範囲に収まるかどうかを先に確認したかどうかです。本記事では、良い点だけでなく、EVトラックの弱点を6つ、包み隠さず解説します。それぞれに「克服策」と、公表されている大手物流会社の対応事例も添えました。(※金額・効果はすべて概算で、確約するものではありません)

まず良い点|EVトラックが選ばれている4つの理由

  • 燃料費・維持費が大きく下がる。電気はガソリン・軽油より走行距離あたりのコストが安く、エンジンオイル交換や部品点数の少なさから整備費も抑えやすい傾向があります(走行条件・電力料金により変動)。
  • 静粛性・振動の少なさ。早朝・深夜の配送、住宅街への配達で、エンジン音・振動が小さいことは近隣配慮の面でも評価されています。
  • 荷主のCO2削減要請に応えられる。大手荷主が配送のScope3(サプライチェーン排出量)削減を取引先に求める流れが強まっており、EV車両を持つこと自体が受注・継続取引の材料になり始めています。
  • 補助金活用で導入コストを圧縮できる。国+自治体の補助を組み合わせると、車両価格の負担を大きく減らせる可能性があります(受付期間・予算枠に限りがあるため早期確認が有利)。

良い点は分かった、では弱点は?ここからが本題です。

ZO MOTORSはどこが運営している会社なのか|ファブレス構造を深掘り

「聞いたことがないメーカー」という不安の正体は、多くの場合「実態が見えないこと」そのものです。ここでは公開情報をもとに、ZO MOTORSの運営構造を掘り下げます。

項目 内容
正式名称 ZO MOTORS株式会社(ZO MOTORS Corp.)
設立 2023年7月6日
資本金 4億4,030万円
本社 東京都中央区銀座5丁目12番6号 CURA GINZA 9F
代表体制 代表取締役:寺西秀豊/CEO(最高経営責任者):花田晋作
親会社 ZO FUTURE GROUP(大象未来集団、香港証券取引所メインボード上場・証券コード2309.HK)
事業内容 車両開発・車両販売・アフターサービス(製造は自社工場を持たないファブレス方式)

親会社は香港上場企業

ZO MOTORSは、香港証券取引所メインボードに上場している投資会社「ZO FUTURE GROUP(大象未来集団、証券コード2309.HK)」の子会社です。ZO FUTURE GROUPは不動産・ヘルスケア関連事業・自動車事業に投資する持株会社で、上場企業である以上、一定の情報開示・監査を受ける立場にあります。「どこの誰が運営しているか分からない」という不安に対しては、この資本構造がひとつの答えになります。

「ファブレス」の中身=どこで作っているのか

ZO MOTORSは自社に製造工場を持たないファブレスメーカーです。具体的な生産体制は次の通りです。

  • ZM6のベース車両:中国の大手商用車メーカーFOTON(福田汽車)が欧州市場向けに展開する小型BEVトラックを、日本仕様に改良したモデルです。
  • 戦略提携:2024年1月、中国の商用車大手WEICHAI(濰柴)ともグローバル戦略協定を締結し、次世代エネルギー商用車の共同開発・生産協力体制を構築しています。
  • 組立拠点:カンボジアにKD(ノックダウン)工場を保有し、部品を輸入して現地で組み立てる生産方式を採っています。
  • バッテリー:世界最大手のCATL(寧徳時代)製リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池を採用。CATLはテスラ・BMWなど世界の主要メーカーにも供給する企業です。

ファブレス自体は珍しい経営モデルではありません。Appleが製造をFoxconnに委託しているのと同じ構造で、「工場を持たない=実態がない」わけではなく、設計・販売・アフターサービスに経営資源を集中させる戦略です。判断材料にすべきは「どこが作っているか」よりも、保証内容・整備網・部品供給体制が書面で確認できるかという点です。

ZO MOTORS ZM6 EVトラック 実車
ZO MOTORS「ZM6」。本体価格1,390万円を明示し、値引きに頼らない価格戦略を取っている(写真はZO MOTORS公式提供)。

弱点1|車両価格が高い

弱点

小型EVトラックの車両本体価格は、同クラスのディーゼル車と比べて数百万円単位で高くなるのが一般的です。例えばZM6は本体価格1,390万円ですが、同クラスのディーゼル小型トラックは概算で500万円前後からとされ、価格差だけを見ると導入をためらう会社が多いのも事実です。

克服策

①国・自治体の補助金活用で実質負担を圧縮する(東京都・神奈川県・千葉県は独自の上乗せ制度あり)。②車両価格だけでなく、燃料費・メンテナンス費まで含めた10年単位のTCO(総所有コスト)で比較する。③新車購入にこだわらず、中古車をベースにした改造という選択肢も視野に入れる。

公表されている事例|SBSホールディングス

SBSホールディングスは、新車価格の壁に対して中古ディーゼル車を改造したEVコンバージョントラックを量産・導入する方針を公表しています(2025年ナンバー取得)。グループ全体でEV1万台導入という構想も示されており、「高いから買えない」という前提を調達方式の工夫で崩した例として参考になります。

弱点2|航続距離が短い・冬場に電費が落ちる

弱点

電気トラックの航続距離は、同クラスのディーゼル車に比べて短く、さらに冬場の暖房使用や積載量の増加で電費が悪化する傾向があります。「長距離幹線輸送」を前提に導入すると、運行計画そのものが破綻するリスクがあります。

克服策

①1日の実走行距離が、車両のカタログ航続距離の6〜7割以内に収まるルートに限定して導入する。②冬場・エアコン使用・積載量による悪化を見込んだ余裕を持たせて試算する。③長距離輸送には向かないと判断できるなら、無理に勧めない。

公表されている事例|ヤマト運輸

ヤマト運輸は2025年3月時点で約4,200台のEVを導入済み(2030年度に2万3,500台の計画)としていますが、対象は1日の走行距離が読める集配ルート車が中心です。「全車両をEVに置き換える」のではなく「EVが勝てるルートから入れる」という発想が、大手にも共通しています。さらに、充電時間の弱点自体を解消するバッテリー交換式EVの実証(三菱ふそう・Ampleと150台超、2025年9月〜東京都)も進めています。

弱点3|充電インフラ・拠点の受電容量の制約

弱点

事業所に高圧受電設備がない場合、複数台のEVトラックを同時に急速充電することは容易ではありません。「車両は導入したが、充電が追いつかない」という事態を避けるための事前設計が欠かせません。

克服策

①急速充電に頼らず、夜間の普通充電で運用が回る計画にする。②国の補助金は充電設備と車両の一体導入が条件になっているケースが多いため、車両と同時に申請する。③高圧受電の増設が必要な場合は、複数年の導入計画を前提に補助金を検討する。

公表されている事例|SBS即配サポート

SBS即配サポートは、車両導入と同時にフリートマネジメントサービス(Evolity)で電池残量・充電状況を常時監視する体制を整え、「充電切れが怖い」という不安を運用データの管理で解消しています。充電を「設備だけの問題」ではなく「運行管理の問題」として捉えている点が参考になります。

弱点4|リセールバリューが読めない・電池劣化への不安

弱点

EVトラックは市場に出回ってからの年数が浅く、中古車としての流通実績・下取り相場がまだ確立していません。バッテリーの経年劣化がどの程度進むのかも、乗用車以上に不透明な部分があります。

克服策

①契約前に、メーカーの電池保証年数・保証距離を書面で確認する。②補助金には「原則4年前後は売却・廃車に承認が必要」という処分制限期間があることを事前に理解し、短期売却を前提にした資金計画を立てない。③電池の二次利用(蓄電池化)市場が育ちつつあることも判断材料に加える。

公表されている事例|電池保証・リユース事業の広がり

商用軽EVの領域では、電池保証6年・16万kmを明示するメーカーも出てきています(フォロフライFKVの公表例)。日産系のフォーアールエナジーなど、EV電池のリユース事業もすでに稼働しており、「使用後の電池は価値がなくなる」という前提は徐々に変わりつつあります。

弱点5|中国系メーカーへの不安(保証・部品供給・撤退リスク)

弱点

ZO MOTORSをはじめ、新興EVトラックメーカーの多くは中国の製造パートナーと連携しています。「聞いたことがないメーカー」「万が一撤退したら部品が手に入らないのでは」という不安を感じる会社は少なくありません。

克服策

①「どこの国のメーカーか」ではなく、「保証・整備網・納期」を書面で確認する項目に置き換えて判断する。②大手物流会社の採用実績を確認材料にする。③複数メーカーを扱う紹介・支援事業者を通すことで、特定メーカーへの依存リスクを分散する。

公表されている事例|佐川急便・SBS

佐川急便は、中国工場で生産する共同開発の軽EV(ASF)で集配用軽自動車7,200台を置き換える計画を公表しています。SBSも中国製をベースにしたEVを主力の一つに据えています。大手企業が「製造国」ではなく「仕様・保証内容」で導入を判断している実例として参考になります。

弱点6|補助金そのものの不確実性(減額・抽選化・年度替わり)

弱点

補助金は毎年度、金額や条件が見直されます。予算の消化状況によっては年度途中で申請の扱いが変わったり、想定より早く受付が終了したりする可能性もあり、「補助金ありき」で資金計画を組むのはリスクがあります。

克服策

①国の制度は「予算残が一定割合を下回った時点で審査方式が変わる」旨が公募要領に明記されているケースがあり、早めの申請が有利になりやすい。②値引きをすると国の補助額が減額される制度設計になっている場合があるため、値引きに頼らない価格戦略の車両は、むしろ補助金と相性が良いケースもある。③補助金が縮小しても導入の意思決定ができる会社(荷主からCO2削減を強く求められている会社など)を優先して検討する。

公表されている事例|大手荷主のEV化公約

ヤマトは充電の再エネ化を進めるとともに他社の脱炭素支援まで事業化しており、アスクルなど大手荷主も配送のEV化を公約に掲げています。「補助金があるから買う」だけでなく、「荷主に選ばれるために導入する」という需要がすでに立ち上がりつつあります。

ZO FUTURE GROUP香港上場(証券コード 2309.HK)ZO MOTORS株式会社車両開発・販売・アフターサービス(東京)FOTON(福田汽車)ZM6ベース車両を製造中国WEICHAI(濰柴)戦略提携・共同開発中国CATL(寧徳時代)LFPバッテリー供給世界最大手・中国カンボジアKD工場で組立

ZO MOTORSの資本・生産構造(公開情報をもとに作成、2026年8月時点)。

購入する社長様へ|EVトラック導入がもたらす5つの経営メリット

現場の使い勝手だけでなく、経営の視点で見たときにEVトラックがどう効くのかを、数字とともに整理します。(※すべて概算・前提条件付きの試算であり、確約するものではありません)

2.6〜5.2年車両価格差の回収年数走行条件により変動(概算)最大42万円年間の燃料費削減額の目安高走行・幹線ルートの場合約212万円〜東京都上乗せ込みの補助金目安ZM6・事業用1台の場合整備費減オイル交換・排気系整備が不要可動部品が少ないため受注力UP荷主のScope3対応要請に応える大手荷主のEV化公約が拡大中5つの経営メリットを本文で詳しく解説(すべて概算・条件で変動)

EVトラック導入で経営者が押さえておきたい数字(後述の各項目に出典・前提を明記)。

メリット1|車両価格差は2.6〜5.2年で回収でき、以降は純粋な利益

ZM6(本体1,390万円)と同クラスのディーゼル小型トラック(概算約500万円)の価格差は、補助金適用後で約110万円まで縮まります。1日100km×月22日(年間約26,400km・市街地中心)の走行なら、燃料費だけで年間約21万円の削減効果があり、約5.2年で価格差を回収できる計算です。1日220km×月25日(年間約66,000km・幹線中心)の高走行なら、削減額は年間約42万円に拡大し、回収年数は約2.6年まで短縮されます。回収後は、燃料費削減分がそのまま利益に積み上がります。

メリット2|5年間で最大200万円規模の燃料費削減効果

高走行の条件(年間削減額約42万円)で試算すると、5年間の累計削減効果は約210万円に達します。市街地中心の一般的な条件(年間削減額約21万円)でも、5年で約105万円です。1台単位では小さく見えても、複数台を運用する事業者であれば、台数分そのまま効果が積み上がります。

メリット3|国+都道府県の補助金で初期投資の負担を大幅圧縮

ZM6・事業用1台・東京都の場合、国の補助金(LEVO公表の事前登録車両の基準額に基づく)が約424万円、東京都の上乗せ補助が約212万円、合計で約635万円規模の補助が受けられる試算になります(本体価格1,390万円に対し、実質負担額の目安は約755万円)。神奈川県・千葉県にもそれぞれ独自の上乗せ制度があります。ただし、いずれも受付期間・予算枠が設けられており、早期の確認が有利です(正確な金額は自社の条件で試算してください)。

メリット4|整備費・ランニングコストを抑えやすい

EVトラックはエンジン・排気系がなく可動部品が少ないため、オイル交換や排気系統の整備が不要または軽微になります。長期保有を前提にした場合、TCO(総所有コスト)全体で見てディーゼル車より有利に働く要素です。一方でバッテリーの経年劣化は不確定要素であり、電池保証年数・保証距離を契約前に確認しておくことが重要です。

メリット5|荷主からの評価向上と新規受注機会

大手荷主が取引先に対して配送のScope3(サプライチェーン排出量)削減を求める流れが強まっています。すでにヤマト運輸は充電の再エネ化を進めながら他社の脱炭素支援まで事業化しており、アスクルなど大手荷主も配送のEV化を公約に掲げています。EVトラックを保有していること自体が、既存取引の継続や新規案件の受注において、価格以外の評価材料になり始めています。数字に表れにくい効果ですが、中長期的な受注力への影響として押さえておく価値があります。

ZO MOTORS ZM5 EVトラック 実車
「ZM5」。標準シャシ・ロングシャシ、電池容量S/Mの組み合わせでバリエーションを持つ(写真はZO MOTORS公式提供)。

導入前に確認したい「合う会社・合わない会社」

こんな会社はEVトラックと相性が良い傾向があります

  • 毎日ほぼ同じルート・同じ距離を走る集配業務が中心
  • 1日の走行距離がカタログ航続距離の6〜7割以内に収まる見込みがある
  • 夜間に車両を駐車できる拠点があり、普通充電の設備を用意できる
  • 荷主からCO2削減・環境対応を求められている、または今後求められる見込みがある
  • 4年程度は車両を保有し続ける前提で計画できる
今はまだ早いかもしれない会社

  • 長距離幹線輸送が中心で、1日の走行距離が長い
  • 拠点に充電設備を用意する見込みが立たない
  • 2〜3年での短期売却・乗り換えを前提にしている

該当する項目が多いか少ないかで、無理に導入を急ぐべきではないケースも見えてきます。「合わないのに導入して失敗する」よりも、条件が整うまで待つほうが結果的に近道になることもあります。

まとめ|弱点を先に知ってから判断する

EVトラックには、燃料費・維持費の削減、静粛性、荷主からの評価向上、補助金活用といった明確な良い点がある一方で、車両価格・航続距離・充電インフラ・リセール・メーカーへの不安・補助金の不確実性という6つの弱点も確かに存在します。大切なのは、弱点を隠さずに把握したうえで、自社の走行距離・拠点環境・資金計画に照らして「今、導入すべきかどうか」を判断することです。

自社の車両・台数・地域での正確な補助金額と実質負担額を知りたい方へ。
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